新卒採用に関する指針や法規制

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新卒採用に関する指針や法規制

 

1.厚生労働省が定める「指針」を知る

厚生労働省では、求人活動における弊害を未然に防止し、求人秩序を確立するため規制や禁止事項を定めています。
初めて新卒採用にたずさわる場合、まずは厚生労働省が定めている「公正な採用選考をおこなうための指針」を十分留意し、公正な求人活動を維持する必要があります。
以下、厚生労働省が定める2018年度入社の選考における指針のポイントを記載します。

 

採用選考活動開始時期

学生が本文である学業に専念する十分な時間を確保するため、採用選考活動については、以下で示す開始時期より早期に行うことは厳に慎む。

広報活動:卒業・終了年度に入る直前の3月1日以降
選考活動:卒業・終了年度の6月1日以降

なお、活動にあたっては、学生の事情に配慮して行うように努める。

 

採用内定日の遵守

正式な内定日は、卒業・終了年度の10月1日以降とする。

※一般社団法人 日本経済団体連合会「採用選考に関する指針」より
※参照元:厚生労働省HP http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0145/1852/201751716269.pdf

上述の指針には「手引き」による詳細の解説があります。

そこには、広報活動の定義や選考活動における留意点、インターンシップに関することなど、わかりやすく解説されています。
採用関係者はぜひ一読されることをおススメします。

募集時に遵守すべき事項

・労働条件を明示してください(職業安定法第5条の3)
・業務内容などを平易な言葉で的確に表示してください(同法第42条)

※虚偽の条件表示などに対しては罰則があります(同法第65条第8号)

などがあります。

虚偽の条件表示があると罰則がありますので、注意が必要です。また、時間外労働について固定残業代制を採用している場合の記載例など、細かい解説もされています。

 

採用内定にあたって遵守すべき事項

・採用の時期や採用条件、採用内定取り消し事由などは、文書で明示してください。

・採用内定者について労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない採用内定の取り消しは無効となりますので、十分にご留意ください。

・やむを得ない事情により採用内定の取り消しや入社時期の繰り下げを行うときは、新規卒業予定者の就職先の確保に最大限努力するとともに、該当者からの補償などの要求に誠意をもって対応してください。

こういった遵守事項を読むと、新卒採用にたずさわる責任の重さを改めて痛感することでしょう。
また、毎年の採用人数が大きく変動しないように留意をも求めていたり、募集時に採用人数を「若干名」や「○○人以内」など不明確な表現を避けるよう注意しています。
まずは、こういった国が定める新卒採用に関する遵守すべき事項を理解し、採用活動にのぞみましょう。

参考URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133085.html

2.「内定」は雇用関係の成立であることを知る

企業による内定取り消しは解雇にあたります。
内定の成立により労働契約が成立したと認められる場合、労働契約法や労働基準法などの様々な規定が適用されることとなります。
そのため、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない内定取り消しは無効となります。

また、新卒採用活動をおこなう前に「就業規則」の見直しをおこなうことも重要なポイントです。
トラブルを回避するためにも、「内定者に関しては就業規則は適用されない」といった事項を、就業規則の中に明記しておくなど、万が一に備えしっかりと吟味しておく必要があります。

では、企業による新卒採用の内定取消が認められる場合とは、どんな場合なのでしょうか。原則としては、下記の場合に限るとされています。

①採用内定の取消事由が、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実である場合

例えば、

・卒業できなかったなど、契約の前提となる条件や資格の要件を満たさなかった場合

・内定者の健康状態が悪化し、働くことが困難になった場合

・履歴書等の提出書類に重要な経歴詐称等が発覚した場合

などが挙げられます。

②この事実を理由として採用内定を取り消すことが、解約権留保の趣旨、目的に照らして、解雇として客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができる場合

企業の経営悪化による内定取消も②に該当しますが、その際は以下の4つの要件を満たす必要があります。

ⅰ.人員整理の必要性があること

ⅱ.解雇回避のために最大限の努力を行ったこと

ⅲ.解雇対象者の選定等が合理的に行われていること

ⅳ.手続きが妥当であること


正当な理由がなく内定を取り消した場合、内定者から損害賠償を請求されることもあるので、万全の注意を払い慎重に対処しなくてはなりません。

国会議事堂

3.新卒採用にかかわる法律

新卒採用活動をおこなうにあたり、下記のような一定の制限やルールが加わる法律があります。新卒採用活動にかかわる人員はきちんとチェックし、理解しておきましょう。


【職業安定法】

採用活動において下記の義務が課されています。

・募集にあたり、業務内容・賃金・労働時間など労働条件を明示する義務

・個人情報を適切に収集・管理する義務(人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想および信条に関する事項、労働組合の加入状況などの情報収集の禁止など)


【男女雇用機会均等法】

採用活動において、性別を理由とする差別を禁止し、男女均等な取扱いを求めています。    また、業務上の必要性など、合理的な理由がない場合に、募集・採用において労働者の身長・体重・体力を要件とすることは、間接差別として禁止されています。

例えば、募集の段階で「今年は 10 名新規採用する、バランスを考え、男性7名、女性3名採用する」と表記することは違法となります。
参考URL:http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/rule.pdf


【個人情報保護法】

新卒採用活動においては、学生の個人情報を多く取り扱うことになります。個人情報とは、住所・氏名・年齢・電話番号など本人を特定できるものを指しますので、住所・氏名だけの簡単な受付票であっても個人情報として慎重に取り扱うことが必要です。

従って、個人情報保護法に基づき、あらかじめ学生側に利用目的を公表、または通知しなくてはなりません。利用目的を変更した場合も同様に公表または通知が必要です。また、個人データの取り扱いの委託などを除き、学生本人の同意を得ずに第三者に情報を提供してはいけません。

個人情報は、安全な管理のもとでの保管が義務づけられていますので、従業員個人に違反があった場合も企業の監督責任が問われて罰則の対象となります。該当する全社員に対し、取扱方法の徹底をおこないましょう。

流出した個人情報が売買されて悪用されるなどの問題も発生していますので、企業が学生の個人情報を持ち続けることはリスクとなります。目的を終えた後の個人情報はすみやかに本人に返却するか、破砕・焼却など適切な処分を施すことが望ましいでしょう。また、返却しない場合には、いつの時点でどのように処分するか、あらかじめ表記するようにしましょう。

以上、新卒採用における国の指針や法規制について、簡略的にお伝えしました。初めて新卒採用をおこなう際だけでなく、毎年確認をしながら計画をたてることをおすすめします。

 

まとめ

・新卒採用活動や内定提出の時期は、厚生労働省による指針が定められている

・募集や内定提出の方法についても、遵守すべき事項が定められている

・内定=労働契約の成立となるため、理由もなく一方的に内定取消は認められない。

・募集における労働条件の明示は、職業安定法により義務が課せられている。

・男女雇用機会均等法に反する募集や採用活動は、違法となるため注意が必要。

・個人情報保護法に準じた学生の個人情報の取扱を徹底すること。

 

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